映画「THE FIRST SLAM DUNK」を観てきました。
遅ればせながら感想を。
実際ここまで観に行くのが遅れたのは、仕事の影響とかプライベートの影響とかいろいろあったのですが、ようやくまとまった休みが取れましたので、しっかりと観に行ってきました。
賛否色々あるとは思いますが、個人的には今できるスラムダンク映画の最適解だったかなと思っています。2時間で収めたことも含めてね。
個人的に感動した、面白かった、イマイチだったポイントをまとめてお伝えします。
ここから完全にネタバレです。↓
※私は「山王戦をやる」「声優が違う」「CGアニメである」という前情報だけを得ていましたが、それ以外の情報は何もなく向かいました。
【冒頭】
バスケットコートで2人の兄弟がバスケをしているシーンからのスタート。
いきなり知らんキャラいるな?と思いましたが、どうやら小さい弟の方は子供のころの宮城リョータであることがわかります。
兄にバスケを教わっているシーンなのでしょう。上手くできなかったのか、ふがいなさに崩れるリョータの頭をがっしりと抱きしめる兄。
そのあとOPに入って、井上雄彦っぽい線画からアニメに代わっていくシーンがありましたが、ネット上ではこのシーンがとても評判がよかったようです。
私は、その前の兄が弟の頭を抱きしめるシーン。あの、「腕の角度と抱きしめ方」にめちゃくちゃ井上雄彦を感じて、「ああ、スラムダンクの映画を見ているんだ」と鳥肌がたちました。頭に手を回すような優しさではなく、腕で覆い囲んでそのまま締め上げるんじゃねーかって感じの抱きしめ方です。腕の角度が井上マンガにしか出てこない角度。伝われ。
マンガだったら平仮名で「がしっ」と擬音が入っていると思います。
(ココ、共感してくれる人いるかな…)
【OP VS山王】
昔やってたUNOのCMみたいな、ペンで線画がどんどん書き足されてキャラクターとなって動き出す。BGMも相まって期待感が増幅します。
5人が勢ぞろいした時は圧巻でした。
5人の歩き方がそれぞれ違っていて、まさにキャラクターが生きているような、自分が思っていた通りの足取りでこちらに向かって歩き出しました。
まあここは色んな方が感想を語っているので割愛します。
ふいに階段が線で書き足され、そこから降りてくる山王工業バスケ部。
舞台はコート上に場面転換し、いきなり試合の幕が切って落とされます。
【試合開始】
序盤最初の見せ場、「アリウープ」。宮城と桜木の「いっ」サインから繰り出す強烈なインパクトで彩るシーンですが、自分が思ったよりサラッといったな!という感じ。
この最初のアリウープで、作者が試合をどういう風に魅せたいかが伝わりました。
あ、このスピード感・まるで生で試合を見ているようなテンポでいくのですね井上さん!と思っちゃいました。でも同時に、この店舗だとおそらくすぐ終わっちゃうぞ?とも思ってしまいました。
【試合中の回想(宮城リョータ)】
ただ、そうは終わらないようで、合間合間にリョータの回想シーンが流れる。
幼くして父と兄を失ったリョータ。兄の影響で始めたバスケも、兄ほどの才能はないと周りからも評価され、自分自身も兄のようになりたいけど慣れないというコンプレックスを抱えたまま育っていく。母親との確執もあり、少しずつ心がすさんで反抗的になっていくリョータ。
これが試合シーンを遮って出てきます。
観る人によってはテンポが落ちると思うような場面ですが、これが試合シーンのスピード感と臨場感と対をなす、静かで物悲しくて、味わい深いシーンなので、交互に出されると緩急・落差がすごくて感情が揺さぶられまくりました。
試合シーンに関しては、かなりカットされている部分が多かったです。ギャグっぽいシーンはほぼなくなっており、ゴリにタッチされた後に手を腫れ上がらせている桜木は気づくか気づかないかくらいのスピードで画面端を通り過ぎていきました。
その中でも印象的なシーンをピックアップ
【あきらめの悪い男】
三井寿のシーンはとっても好きでした!原作でも好きなキャラだったので、3Pを立て続けに決めるシーンと、あの「静かにしろい」がまさに三井を象徴するシーンです。
もう腕もあがらねーのによ…からの、そんなタマじゃねーよな!もよかったです。個人的に観たかったシーンだったので興奮しました。急に語彙力下がる。
ただ欲を言えば小暮さんの「2年間も待たせやがって・・・」がないのはさみしかった!あればより感動した!
ただ、あれを原作未読の人に伝えるには、そこまでの間に何かしら小暮・赤木と三井の確執も描かないといけないので、まあ脳内補完するしかないかなと。
【BY天才桜木】
試合がリアルっぽいがゆえにものすごく浮いてましたねw
ただ、「シロートだからよ」の桜木は、漫画版そのままのポーズでめっっっちゃくちゃカッコよかったです。ご飯4杯いける。
あ、触れていなかったですが声優の演技は概ね受け入れられました。もちろん思い出補正は強くあって、草尾桜木だったらどう言ってただろうな、とか考えはしましたが・・・。声優の演技もどちらかというとリアル寄りだったんですよね。試合展開がスピーディでセリフも多くなく、リアルを意識していたからこそ違和感は少なかったかなと。
【カットシーンいくつか】
◇ごむぇん兄ちゃん。河田弟のシーンは大幅カット。
◇一ノ倉のスッポンディフェンスもカット(セリフのみ)
◇「おまえに華麗なんて言葉が似あうと思うか、赤木。おまえはカレイだ。泥にまみれろよ。」
唐突な板前姿の魚住が赤木の頭の上で何故か大根をかつらむきするという恐ろしくシュールかつ印象的なシーン。大好きなシーンですが、改変されておりました。いやな先輩の一言から、自分のワンマンではなく、頼れる仲間がいるのだと思い返した赤木がみんなの手を借りて起き上がるシーンに変更されていました。
まあ、仕方ないですよね。いきなり魚住出てきてもあれだし。
というか、海南のメンバーも含め、他高校は全然出てきませんでした。清田とか好きだったけどなー・・・まあ、そこ深堀しても仕方ないんで、脳内補完で。
◇「大好きです。今度はウソじゃないっす。」なくなくカット。いやここは名シーンだったけどなー・・・今回はリョータが主役なのでってことかな。ていうか晴子のシーンは大体カットされていましたね。「あんなに練習したのに・・・」とか、赤木に対する晴子の心の声もほぼなし。うーん、残念。
◇ゴリの涙シーンもカット。感情的になるな…からの、小暮君の「ずっとこんな仲間が欲しかったんだもんな」は原作で大いに泣きました。
◇ダンコたる決意もなし。くうう、悔しい。
その他いろいろカットシーンはたくさんありますが、まあこんなくらいで
【センシュセイメイ】
ここら辺から涙腺うるうる。
湘北ベンチメンバーが花道に念を込めて手をギュッと握るシーン。あそこがあってよかった。
「親父の栄光時代はいつだ?全日本の時か?」
ここはその前のシーンで安西監督が早朝ランニングに出ているとき、ペースを落としてほしいと懇願する安西先生に奥さんが「元全日本でしょ」と鼓舞するシーンを加えることで、初見さんにもわかりやすく説明ができていると思っています。
こういう細かいシーンで、前後のセリフをわかりやすくするテクニックはやっぱり視聴者目線で考えていて好きだなと感じるところです。
【クライマックス】
後半怒涛の展開。息をつかせぬ攻守の切り替わり。
桜木のミスからボールを取られ、すぐに相手ゴールへボールをたたきこもうとする沢北。後ろから「返せ」とボールを再度奪い取る桜木(この「返せ」のセリフはちょっと棒読みっぽくて笑っちゃいました)。その後地面を這うようにボールをつかみ、そのまま流川へパス。
原作でも唯一と言っていい桜木から流川へのパス。(間違えて渡したことはあったかな?確か)
ここも、前半のシーンで流川には絶対パスしないぞ、というシーンを一つ加えることで2人の関係性を確認させていました。
土壇場で逆転に成功し、残り時間もわずか。タイムアウトを取ろうとしてやめる山王監督。
ここから深津のゲームメイクにすべてを託す。というシーン。まあ、正直深津はほぼセリフないですし、ナレーションもないので脳内補完するしかないところです。
恐ろしいまでの冷静さで再逆転に成功する山王。
ここからは無音です。
まさに原作再現そのまま。本当にマンガがそのまま映像化されたような再現度。ぶるんぶるんしてました(鳥肌が)。
再逆転後すぐにどたどたと走っていく桜木。
追いかける山王陣。赤木がパスを出そうとするのを必死に止めようとする河田弟。
流川へのパス。
流川が切り込んで相手ゴールへ攻め込む。
前には河田ら重量級が必死の形相で食らいつく。ほぼシュートコースはなし。
ふと横を見る流川・・・
自分の得意位置で、シュートイメージを固めている桜木花道。
原作ではセリフを伝えていますが、あえて映画では口パクで表現。
我々(ファン)にしか伝わらないセリフ。
でも、確かに言っている!
「左手はそえるだけ」
最初で最後の、流川から桜木へのパス。(原作ではこのシーンのみしかパスしてません。多分)
ここから桜木が湘北に入ってから今までのシーンがフラッシュバック。
2万本シュート合宿で培った美しいフォームからのジャンプシュートがブザービーター。
桜木と流川の目が合い、お互いが近寄っていく。
(原作屈指の名シーン)
すぐに目を背ける。
からの、宮城が駆け寄り、みんなが駆け寄り、喜びを分かち合う。
崩壊(涙腺)
いや、原作通りって感じの演出でした。ていうか、これしかないでしょう。無音の映画館はみんなの息をのむ様子が聴こえてくるようでした。
まあ、そんなにお客さんは入っていなかったですけど。
最後のハイタッチシーン。
原作の方がよいです。これだけはちょっと言っておきたい。
タッチ音が入っていたんですけど、音はいらなかったかなーと思いました。
いや、たぶんなくても原作は越えられないかな・・・とは思いましたが。
【ラストシーン】
沢北が神社で願い事をしていた「自分に足りないものをください」が、「敗北」とは皮肉だなと思いました。山王堂本監督のセリフ「「負けたことがある」というのが、いつか大きな財産になる」からの、泣き崩れる沢北のシーン。やばいっす。卑怯です。あんなシーン入れるの。
ただ、それがあったからこそアメリカに渡って活躍できているんだなと。
ラストシーンの沢北のインタビューからの試合開始
相手チームにはなんと、宮城リョータの姿が。
宮城も渡米してNBAプレイヤーになっていたようです。
正直、沢北はともかく宮城ではアメリカで通用するのか?と思う部分もありますが。
井上雄彦の夢を描いたのかな、と思っています。
バスケが好きで、自分もNBAプレイヤーになりたかったその夢を宮城リョータというキャラクターに投影させているような。
エンディングへ。
観終わった後の正直な感想。
「これでFIRSTってことは、次が三井視点の山王戦で、次がゴリ視点で…ってパート5まで同じ試合を見せるってことか????」
です。
まあ多分、それはないんでしょうが。
でもまだまだ見どころがたくさんあるので、出来れば余すことなく見せていってほしいですね。5時間くらいになっていいので、ディレクターズカット版で全部盛りのを希望します。無理でしょうけども。
いやー、そんなこんなで感想終わりです。
ここまでで4600文字。長くなりすぎてしまった。大丈夫かな…
このブログを全部見る人はいないでしょうが、スラムダンク好きなら見ておいて損はないと思います。
そんな、月並みな感想を添えて・・・
以上です。